知的財産
当社グループは、特許・商標等の知的財産権や技術・ノウハウを、事業の競争力と持続的な成長を支える重要な経営資源と位置付けています。「マイルストーン2027」および「研究開発方針」と連動し、重点分野における知財の創出・保護・活用を推進します。
製品・サービスの差別化、生産性の向上および新たな事業機会の創出に知財を活かすことで、社会課題の解決と中長期的な企業価値の向上を目指します。事業部門、研究開発部門、生産部門および知財部門が連携し、事業の企画・開発段階から知財戦略を組み込んでいきます。
知的財産の状況とガバナンス体制
当社グループの特許出願においては、各事業の事業戦略に則った知財ポートフォリオの構築を進めています。当社グループの海外売上高比率も30%以上となり、今後のグローバル戦略にも対応できるようアメリカ、中国への出願比率を高めています。2025年度の特許出願件数は、重点分野である1DAYを中心に強化したことで、前年度比で着実に増加しました。今後は、引き続き重点分野の強化を図り、2028年度には年間35件の出願を計画しています。
保有特許については、事業との関連性、技術の重要性、国内外での活用可能性及び維持費用等を踏まえ、継続的に見直しています。事業上の重要性が低下した権利の整理と、重点分野における新たな権利取得を進めることで、保有件数の多寡だけでなく、事業への貢献を重視した知財ポートフォリオの最適化を図っています。
また、当社は指名委員会等設置会社であり、経営執行上の決定については取締役会から執行役に委任されています。当社の知財活動については、執行役会の監督のもと透明性のあるガバナンス体制を構築し、知財戦略や重要な決定事項については執行役会で監督・助言を受けています。
特許保有件数の地域別内訳(2026年3月末現在):595件
知財戦略3本柱
当社の知財戦略は、①事業拡大の基盤構築、②知財の生まれる環境づくり、③イノベーションの推進の3つの柱によって構成されています。また、知財戦略における2028年度KPIを設定しています。
知財活動については、特許出願件数・保有件数や発明創出への参加状況に加え、重点分野における知財の充実度、製品・生産工程での活用状況および事業への貢献を総合的に評価し、施策の改善につなげていきます。また、技術や事業の特性に応じて、特許・商標・意匠等による権利保護と、ノウハウの秘密管理、契約による保護を組み合わせ、製品・サービスおよび生産プロセスを多面的に保護していきます。
①事業拡大の基盤構築
当社グループの事業は今後、重点分野(1DAY分野、オルソケラトロジー関連分野、レンズケア分野)を成長ドライバーとして事業拡大を図る計画であり、これらの分野の知財の創出に集中的にリソースを投下しています。
1DAY分野:コンタクトレンズ素材・ビジネスモデル・パッケージング技術・生産技術を当社グループの今後の技術的強みとして位置付け、知財リソースを集中させています。新製品の導入においては、技術的強みにおける知財確保のみならず、コンタクトレンズ保存液やレンズデザイン技術など多面的に製品保護を図っています。本分野における特許が一部権利期間満了を迎えましたが、新たな発明の創出・権利化(一部特許取得済み)と、未公開の製造ノウハウ等の適切な秘密管理を進めています。これらを組み合わせた多面的な保護は、模倣品の市場流通の抑制に有効であると考えています。
- ・コンタクトレンズ素材:当社は、2008年「2WEEKメニコン プレミオ」、2016年「1DAYメニコン プレミオ」といったシリコーンハイドロゲルレンズ、またこれらの乱視用・遠近両用を市場に導入しており、本分野において業界を牽引する立場です。近年、要素技術の開発が充実し、順調に特許を出願しているため、当社グループのプレゼンスを更に高められると考えています。
- ・ビジネスモデル:メルスプランがまさに技術的強みであり、ビジョンケア事業を支える屋台骨となっています。当社グループはこれまで、他社に先駆けてメルスプランに関する特許を権利化し、本ビジネスモデルの保護に努めてきました。更に、今後はサービスの拡充や新たな販売方法の導入が見込まれていることから、ビジネスモデルのより一層強固な保護を図っていきます。
- ・パッケージング技術:「SMART TOUCH」は、独自のパッケージとして明確な特徴を持ち、競合他社の追随を許さない製品の差別化を支える強みとして位置付けています。そのため、更なる進化と強みの強化を図るべく、知財リソースを集中させています。
- ・生産技術:製造原価の低減及び生産効率の向上は、当社グループにとって短期的にも中長期的にも重要な課題と言え、更なる競争力の源となる発明を生み出すための体制を整えています。
オルソケラトロジー関連分野・レンズケア分野:オルソケラトロジー関連分野では、製品の高いカスタマイズ性や処方支援ソフトウェアを強みとして、製品・サービスの開発に取り組んでいます。また、レンズケア分野においても、洗浄・消毒効果の高い保存液やタンパク除去剤により、競合他社への優位性を確立しています。今後は、更なる発明の発掘を通じて知財を創出し、業界内での地位をより確固たるものにしていきます。
②知財の生まれる環境づくり
今後、研究員に占める発明者の割合(発明者割合)を、2028年度には40%にまで引き上げ、研究開発力の強化につなげていきます。実際に、2025年度の発明者割合は2024年度比で約4%増加しており順調に強化が進んでいます。更に2025年度には、生産技術発明に対する報奨制度と生産現場の効率向上を目的とした報奨制度を次々と導入し、生産技術における発明・改善創出による原価低減等の生産効率向上が一層期待されています。
知財教育についても、従来の取り組みに加えカリキュラム教育とOJTを中心とした実践的な内容の充実を図っています。近年、研究開発部門だけではなく生産部門・マーケティング関連部門へも教育の拡大を実施し発明創出文化が全社へ浸透しつつあります。今後も各種報奨制度と知財教育の両輪で、発明者割合40%の達成を目指し、独創性の高い研究開発集団を構築していきます。
③イノベーションの推進
当社グループの経営理念「創造・独創・挑戦」に基づき、外部の共同研究先やパートナーとの連携を通じて、次世代に向けたコア技術の応用とイノベーションを推進しています。近年では、生成AIを活用し、発明創出や新規事業の創出を関連部門と連携しながら進めています。併せて、他社特許の侵害予防調査、新たに公開される特許情報の継続的な収集・監視などの生産性向上にも積極的に取り組んでいます。
更に、コンタクトレンズ分野の資源循環の実現に向けて、生産・消費過程で生じるプラスチックの再利用を促進する技術や仕組みの創出にも注力しています。
知財に関する教育研修
当社は知財戦略を立案・実行する専門部署を有しており、適切な社内外の教育プログラムを受講しています。各メンバーが知的財産の出願、中間処理対応などの習得から行い、年間約5回の外部講習を受講しています。その後は、知財戦略立案実行に関する各種講習を年間約3回受講しています。また、海外講習の受講や当社と海外特許事務所・パートナー間で直接調整を実施するなど、グローバルで対応可能な知財教育体制を整えています。
他者の知的財産権の尊重と自社知的財産の適切な保護
当社グループは、他者の知的財産権を尊重し、公正な競争を通じた健全な事業活動を推進します。研究開発、製品・サービスの導入および海外展開の各段階で第三者の権利を調査・評価し、必要に応じて設計変更、ライセンス取得又は権利の譲受等の対応を検討します。
更に、第三者による当社グループの知的財産権への侵害行為に関しては、正当な権利行使を行っています。自社の戦略的製品や技術の模倣を防ぐことで、中長期的かつ安定的に社会課題の解決に貢献できると考えています。
