公開日:2025年6月6日
コンタクトレンズの「PWR」とは?「BC」などの用語との違いを解説

『PWRと書いてあるけど、何を示す数値なのだろう?』コンタクトレンズのパッケージやレンズケースを見て疑問に思ったことはありませんか。コンタクトレンズの「PWR」とはどのような数値なのか、似たような言葉の説明と一緒にご紹介します。
コンタクトレンズの「PWR」とは?

「PWR」とは、コンタクトレンズの度数(度の強さ)を示す数値です。「Power(パワー)」の略称で、頭文字の「P」だけを書く場合もあります。屈折力を意味する「Diopter(ディオプター)」の略称で、単位でもある「D」として書かれていたり、球面を表す「Sphere(スフィア)」の略称の「SPH」もしくは「S」が用いられていたりする場合もあります。
パッケージなどに書いてあるので、チェックしてみてください。
コンタクトレンズの「PWR」の見方
PWRは、プラスの数値が大きいほど遠視を、マイナスの場合は近視をコンタクトレンズで強く矯正していることを示します。0.00が度なしで、遠視用なら「+2.00D」、近視用なら「−2.00D」などと書かれているでしょう。メーカーによって違う場合もありますが、0.25や0.50間隔で製造されています。
なおPWRが大きく、より強く矯正すればするほど、見え方もよくなるというわけではありません。その人に合った最適な度数があります。また、コンタクトレンズの規格にはPWR以外にもさまざまな数値があります。そのため、コンタクトレンズは眼科で検査をしてから購入しましょう。
近視の程度って?
PWRをチェックしてみて、『自分はどれぐらい目が悪いのだろう?』と思った人もいるのではないでしょうか。
近視の強さは、メガネやコンタクトレンズの度数からおよそ類推できます。メガネの度数では(あくまで目安ですが)、
- • -0.50Dから-3.00D未満を【弱度の近視】
- • -3.00Dから-6.00D未満を【中等度の近視】
- • -6.00D以上の近視を【強度の近視】
と分類されています。メガネとコンタクトレンズで度数が異なることもあるので参考程度にしてください。
「PWR」と似たコンタクトレンズ用語との違いを確認

最適なコンタクトレンズはPWRを含むさまざまな数値によって決まると紹介しました。「さまざまな数値」の代表例をまとめたので、PWRと同じくパッケージなどでチェックしてみましょう。
BC:内面側の丸み(ベースカーブ)
BCは、コンタクトレンズの内面側の丸みの大きさ(曲率半径)を示す数値です。「Base Curve(ベースカーブ)」の略称で、単位にはmmが用いられます。たとえば「BC8.5」と書かれている場合は、半径8.5mmの円の円周と同じ大きさのカーブであることを示しています。数値が小さいほどカーブがきつい、大きいほどカーブが緩いことを意味する数値です。
DIA:コンタクトレンズ自体の直径
DIAは、コンタクトレンズ自体の直径を表しています。単位はmmで、「Diameter(ダイアメーター)」を略した名称です。DIAが大きくなればなるほど、コンタクトレンズ自体も大きくなります。
カラーコンタクトレンズを使っている人の中には、DIAと「着色直径(外径)」を混同している人がいるかもしれません。着色直径(外径)は、色がついている範囲の直径を示す数値です。つまり、色がついていない周辺の透明部分と着色直径(外径)を合わせたのが、DIAの数値になります。
CT:中心厚み
CTは、コンタクトレンズの中心厚みを示す数値です。単位はmmで、「Center Thickness」を略した名称です。CTは製品の度数やデザインによって異なります。
Dk値:酸素透過係数
Dk値(酸素透過係数)は、コンタクトレンズがどれだけの酸素を通すかを示す数値です。D(素材の中で酸素がどれだけ移動しやすいかを示す値)とk(外から中へ酸素がどれだけ入りやすいかを示す値)をかけ算して求めます。数値が大きいほど多くの酸素を通せるのが一般的とはいわれつつも、測定条件によって変わることが注意喚起されています。
Dk/t値:酸素透過率
同じ酸素を通す能力を持つ場合、レンズが薄いほどレンズを通じて目に届く酸素は多くなります。素材の酸素透過係数と、各レンズのデザイン(中心厚み)を考慮した、それぞれのコンタクトレンズで酸素を通す能力を酸素透過率といいます。
CYL:乱視度数
CYLとは、乱視用のコンタクトレンズで円柱度数(乱視度数)を示す数値のことです。数値が大きいほど乱視を強く矯正していることを意味し、マイナスのみで表記されます。
また、度数(PWR)の後ろに書いてあることが多いです(乱視が入っていない場合は、表記されていません)。「Cylinder(シリンダー)」の略称で、「C」や「CY」とだけ書かれる製品もあります。
AXIS:乱視の角度
AXIS(アクシス)は、乱視(乱視軸・円柱軸)の角度を示す数値です。CYLと合わせて0〜180°で記載され、AXISが90°なら横に、180°なら縦にものがぼやけたり二重に見えたりしていることを示します。「AX」とだけ書かれている場合もあります。
ADD:遠近両用コンタクトレンズで近くを見るための度数
ADDは、遠近両用コンタクトレンズで近くを見るときの度数(加入度数)を示す数値です。遠近両用コンタクトレンズは、遠く用と近く用でそれぞれに合った度数を使い分けて、ものを見やすくしています。PWRとセットで「PWR−4.00 ADD +1.00」のように表記されている場合、近くを見るときにはPWRが−3.00に設定されていることになります。つまり、遠く用と近く用それぞれの度数の差をADDで示しているのです。
「Addition(アディション)」の略称で表記の方法はメーカーによってさまざまです。プラス記号と数値で表すほかにも、LO/MED/HIやLow/Mid/Highなどと強さの段階で表記されている場合もあります。
EXP:使用期限・有効期限
EXPの数値は、コンタクトレンズの使用期限・有効期限を示しています。詳しく説明すると、適切な環境で保存された未開封のコンタクトレンズがいつまで安全に使用できるかを示す数値です。たとえば「EXP2028/08」ならば、2028年8月31日まで使用できます。「Expiration Date」の略称から「EXP」と書かれるほか、砂時計のマークが代わりに書いてある場合もあります。
LOT:製造番号
LOTは、コンタクトレンズの製造番号です。製造や販売の過程を後から追えるようにつけられています。
自分に合ったコンタクトレンズの選び方

コンタクトレンズをネットで買おうとして、検査を受けずに自己判断でPWRを変えようと思っている人がいるかもしれません。しかしながら、目の状態にあった適切な度数等は眼科で検査を受けないと分かりません。
カラーコンタクトレンズの場合は、着色直径(外径)を大きくしようと、自分に合わないDIAのものを使っている場合もあるようです。合わないコンタクトレンズをつけていると、目にキズがつく可能性もあります。また、目が疲れて、頭痛や肩こりの原因になることもあります。そのため、コンタクトレンズ選びは、眼科医に相談の上で行いましょう。
まとめ
PWRだけでなく、コンタクトレンズはさまざまな数値によって規格が決定されています。PWRを上げれば上げるほど、よりよい見え方になるわけではありません。また、コンタクトレンズや目の調子は日々変化しています。見え方に問題がなくても、気づかずにコンタクトレンズや目のトラブルが進んでいる場合もあるでしょう。眼科で定期的に検査を受け、そのときに最適なコンタクトレンズを使うようにしましょう。
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