公開日:2024年11月21日
保存液の自作はNG!コンタクトレンズの保存液の使い方を解説(ソフトコンタクトレンズ編)

コンタクトレンズの保存液、正しく使っていますか? 長く使っている間に、レンズケアが雑になっている人もいるかもしれません。今回は、ソフトコンタクトレンズの保存液について、正しい使い方や注意点をまとめました。改めてチェックしてみてください。
コンタクトレンズの保存液とは?

保存液とは、コンタクトレンズをつけて保存するための液剤です。洗浄・すすぎ後のコンタクトレンズに微生物が繁殖しないように衛生的に保つ役割や、乾燥から防ぎながら物性を保つ役割があります。
コンタクトレンズをはずしたあとには、「洗浄」「すすぎ」「保存」「消毒」を行うのが基本です。その保存の際に使うため、保存液という名称が使われる場合があります。ただし現在では、すべてを一剤で賄える「MPS:multi-purpose solution(多目的溶剤)」が広く使用されています。
昔は手間がかかったソフトコンタクトレンズの消毒
ソフトコンタクトレンズが登場した当初は、洗浄・すすぎ後のコンタクトレンズを生理食塩水で満たしたレンズケースに入れ、ケースごと加熱して煮沸消毒する「熱消毒」が主流でした。しかし、ソフトコンタクトレンズの素材には、加熱すると物性が変わったり劣化して破れやすくなったりするものがあります。また付着したタンパク質が熱で変性し、白濁化やアレルギーの原因になる問題が生じていました。
現在では「MPS」が広く使用されるように
熱を加えず、薬剤によって消毒する「コールド消毒」の液剤として開発されたのがMPSです。1996年に国内販売が開始されて以来、「洗浄」「すすぎ」「保存」「消毒」が1本で賄える利便性が受け、ソフトコンタクトレンズケアとして広く使用されるようになりました。主成分はカチオン性消毒剤で、微生物の細胞膜を変化させて増殖を抑える作用が期待できます。目に入っても問題ない濃度に消毒成分が設定されており、中和の必要がなく誤使用が少ない点も特長です。
ただしMPSは利便性に優れている半面、熱消毒・過酸化水素・ポビドンヨードよりも消毒効果が劣るといわれています。そのため、こすり洗いをしっかり行い、十分なすすぎによって汚れや微生物を物理的に取り除くのが重要です。
ソフトコンタクトレンズのケア方法(保存液の使い方)を解説

ハードコンタクトレンズとソフトコンタクトレンズで、ケア用品やその使用方法が異なります。今回は、メニコンの「エピカ アクアモア」の場合を例にして、ソフトコンタクトレンズのケア用品(保存液)の使い方を紹介します。
なお「エピカ アクアモア」はMPSであり、保存だけでなく、洗浄・すすぎ・消毒の役割も1剤で賄える商品です。天然系の成分による、タンパク汚れの除去や付着/変性防止・消毒成分の付着防止・高い保湿性などが特長です。開けやすいワンタッチキャップやスッキリ収まるスリムボトルなど使いやすさにもこだわりました。ぜひご活用ください。

一般的なケア用品(保存液)の使い方
(「エピカ アクアモア」を使う場合の手順)
【0】事前準備
・爪は短く切ってください。コンタクトレンズや目にキズをつける恐れがあります。
・石けんを使って手をよく洗ってください。また指先に水分がついていると、コンタクトレンズが滑ってはずしにくくなります。指先の水分を拭きとってください。
・化粧落としを行う場合、コンタクトレンズを先にはずしてケアを済ませてからにしましょう。手についた化粧品がコンタクトレンズに移る可能性があります。
【1】洗浄 忘れずにこすり洗い!

レンズケースに「エピカ アクアモア」を注ぎましょう。
保存する前に、「こすり洗い」を行ってください。コンタクトレンズをはずしたら、手のひらにのせて、「エピカ アクアモア」を数滴つけてください。両面をそれぞれ、20~30回ほど指で軽くこすって洗いましょう。
【2】すすぎ

こすり洗いができたら、コンタクトレンズの両面を「エピカ アクアモア」でよくすすいでください。
【3】消毒・保存

レンズケースにコンタクトレンズを入れたら、キャップをしめて、4時間以上放置すれば、消毒完了です。
※再びつける前に、「エピカ アクアモア」ですすぐと、より清潔に使えます。
なお、「エピカ アクアモア」の使い方を解説した動画もあります。併せてご覧ください。
ソフトコンタクトレンズの保存液の使用・購入・保存に関する注意点

基本的な使い方を守るのはもちろん、誤った使い方をしないことも重要です。ソフトコンタクトレンズの保存液に関する注意点を確認しましょう。
ソフトコンタクトレンズを水道水につけるのはNG
ハードコンタクトレンズは、すすぎのときに水道水を使用します。しかしソフトコンタクトレンズは、水分を吸収するため、含水率が変わってしまい、使用できなくなる可能性があります。また水道水の中に生息するアカントアメーバなどが付着し、感染性角膜炎などの眼病のリスクが高まる点にも注意が必要です。最悪の場合、失明する可能性もあります。万が一、ソフトコンタクトレンズを水道水につけてしまった場合には、装用はせず廃棄してください。
ソフトコンタクトレンズは目薬での保存はできない
保存液の代わりに目薬を使用するのも止めてください。装用したコンタクトレンズには汚れや細菌が付着しますが、目薬には洗浄効果はありません。さらに、目薬の中に含まれている成分や防腐剤などが化学反応を起こし、コンタクトレンズを駄目にしてしまう可能性もあります。
ソフトコンタクトレンズにハードコンタクトレンズ用のケア用品を使用してはいけない
ソフトコンタクトレンズには、水分を吸収する素材が使われています。そのため、ハードコンタクトレンズの保存液をソフトコンタクトレンズに使用すると、吸収されて目に触れると問題がある成分までソフトコンタクトレンズが取り込んでしまい、装用すると目にしみる場合があります。目に刺激を感じる場合は、コンタクトレンズの再使用は難しいでしょう。適切なケア用品を使用し、万が一誤った使用をした場合には眼科に相談してください。
保存液は毎回、レンズケースも定期的に交換
コンタクトレンズを使用しない場合を除き、保存液は毎日入れ替える必要があります。使用済みの保存液に新しいものをつぎ足すのは止めてください。コンタクトレンズに付着した微生物などで汚染された、使用済みの保存液はバイオフィルム(微生物による膜)が形成されやすい状態になっています。バイオフィルムができると、消毒力が低下するのはもちろん、コンタクトレンズに付着して眼病の原因になりかねません。
バイオフィルムの予防のためには、保存液のつぎ足しをしないことに加え、保存液1本を使い切る度にレンズケースを交換するのも重要です。そして使用後のレンズケースのケアも行いましょう。空にして保存液でよく洗ったあと、キャップと本体を伏せてしっかり自然乾燥をさせてください。
長期使用タイプのソフトコンタクトレンズを長期保存する場合は保存液を交換しよう
使用状況や劣化具合を考慮しながら交換する「長期使用タイプ」であれば、1ヵ月以上保存をする場面もあるかもしれません。その場合は、1ヵ月に1回は保存液を入れ替えて、ソフトコンタクトレンズの洗浄とすすぎを行ってください。また1ヵ月以上空いてからコンタクトレンズを装用する場合は、事前に眼科医の検査を受けましょう。
乾燥・凍結したソフトコンタクトレンズは保存液につけても復活はしない
ソフトコンタクトレンズは乾燥すると小さく変形します。変形の際に、破損したりキズがついたりするかもしれません。保存液に浸しておけば、元に戻ったように見えるかもしれませんが、復活はしないため決して装用してはいけません。
寒い環境下では、ソフトコンタクトレンズは凍ってしまう場合もあります。目につけている状況では、体温やまばたきによる摩擦熱で温かいので、まず凍りはしません。しかしレンズケースに入れているときには、保存液ごと凍ってしまう場合があるのです。冷凍庫に入れたり、スキー場などの寒冷地で屋外に置き忘れたりすると、凍ってしまう可能性があります。乾燥した場合と同じく、凍ったコンタクトレンズは使用できません。
まとめて購入する場合は、使用期限と保存場所に注意
保存液をまとめ買いする機会があるかもしれません。まとめ買い自体は問題ありませんが、使用期限内でなるべく早めに使用するようにしましょう。パッケージの記載を確認してみてください。
さらに保存場所にも注意しましょう。直射日光があたる場所や室温が高い場所では、成分が変化する可能性があります。幼いお子さんの手が届かない、凍結する心配がない程度の冷暗所で保管してください。
種類・使用期限が違う保存液を混ぜて使わない
コンタクトレンズの種類が変わると、保存液も違うものに変更することがあるでしょう。もし今まで使っていた保存液が残っていたとしても、種類の異なる保存液は混ぜないでください。また同じものを引き続き使う場合もつぎ足しはせずに、1本を使いきってから新しいボトルを開封するようにしましょう。
コンタクトレンズの保存液は自作しない
保存液の作り方がネットで紹介されているのを見かけたことがあるかもしれません。自作した保存液の中では、アカントアメーバや細菌が増殖している可能性が高く、目に悪い影響を及ぼします。自作はせず、必ず市販の保存液を使ってください。
ソフトコンタクトレンズ用の一回使い切りタイプの保存液もあります!
外出先でもコンタクトレンズの保存に困らないように、保存液(MPSがおすすめ)とレンズケースを持ち歩くようにしましょう。保存液はコンビニやドラッグストアでミニサイズのものが手に入ります。メニコンのコンタクトレンズユーザーは、「コンビニエピカ」をぜひお役立てください。

眼科医に勧められた保存液を使うのが、いいコンディションで長く使う上では重要です。眼科医は目の状態や使用状況を基に、適切な保存液を選択しています。コンタクトレンズと液剤の組み合わせによっては、目に刺激が生じる場合もあります。眼科医の指示や取扱説明書の内容に従い、保存液を選んでください。
まとめ
コンタクトレンズは、高度管理医療機器です。取り扱いを誤ると目のトラブルに繋がる可能性もあります。保存液も、眼科医の指示や取扱説明書にしたがって正しくご使用ください。
コンタクトレンズの不備はもちろん、目のトラブルの早期発見や早期治療のために、定期検査も忘れないでください。コンタクトレンズの汚れやキズは目視で確認できないものもあるほか、正しくケアをしていても、体質によって汚れが十分に落としきれない場合もあります。人によっては、タンパク分解酵素洗浄液「エピカクリア」など、専用商品が必要になるかもしれません。汚れの理由の判断は自分では難しいです。そのような意味でも、正しい使用とともに、眼科で定期的に検診を受けてください。

またメニコンでは、今回紹介したソフトコンタクトレンズ用ケア用品だけでなく、ハードコンタクトレンズのケア用品も販売しております。目の健康のためにぜひメニコンの商品をお役立てください。
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