コンタクトレンズの歴史を知ろう!メニコン創業秘話も紹介 | コンタクトレンズのメニコン

公開日:2023年3月8日

コンタクトレンズの歴史を知ろう!メニコン創業秘話も紹介

コンタクトレンズの歴史を知ろう!メニコン創業秘話も紹介

コンタクトレンズがいつ発明されたかをご存じですか。最新の素材や技術を取り入れて日々進化しているコンタクトレンズにも始まりがあります。教科書に登場する歴史上の人物がコンタクトレンズの発明に関わっていたともいわれてきました。コンタクトレンズがどのように生まれてどのように進化してきたのか。歴史を振り返ってみましょう。

コンタクトレンズの原理はダ・ヴィンチが発見!?

コンタクトレンズの原理はダ・ヴィンチが発見!?

コンタクトレンズの原理は、絵画『モナ・リザ』の作者として知られるレオナルド・ダ・ヴィンチによって1508年に発見されたといわれています。水を満たした球形のガラス容器に顔をつけて目を見開いたところ、外の景色が違って見える現象をダ・ヴィンチは発見しました。しかしダ・ヴィンチの実験では、角膜が水と接してはいるものの、視力矯正の機能は持っていません。そのため「ダ・ヴィンチをコンタクトレンズの発明者とするには無理があるのではないか」と主張する学者もいます。

また哲学者として有名なルネ・デカルトも、コンタクトレンズの発明者といわれる一人です。1637年に出版されたデカルトの論文に「完全なる視力矯正法」についての章があります。そこに記された実験装置が、コンタクトレンズの原理について世界で初めて記述されたものだとの見解があるのです。しかしデカルトの実験装置は像を拡大するための装置であり、コンタクトレンズではなく望遠鏡の原理であるともいわれています。実際に、ダ・ヴィンチやデカルトの図をヒントに、後世の人たちがコンタクトレンズを考えた記録はありません。ダ・ヴィンチやデカルトは意図せずコンタクトレンズの発明者にされていたようです。

視力矯正のためのコンタクトレンズは1888年ごろに発明

視力矯正のためのコンタクトレンズは1888年ごろに発明

視力矯正を目的としたコンタクトレンズが誕生したのは、ダ・ヴィンチの時代から300年以上経った1887〜1888年ごろでした。スイスの眼科医であるオーゲン・フィックが、型取り法(うさぎの目で石膏の型を作り、うさぎに装用)によりコンタクトレンズを制作したのです。そして完成したコンタクトレンズを近視である自分の目に入れて視力の矯正を試みました。一連の実験を記した『Eine kontactbrille』という本の“kontactbrille”から、現在のコンタクトレンズの名前ができたといわれています。

またオーゲン・フィックから少し遅れて、1888〜1889年にアウグスト・ミューラーが自身の目でコンタクトレンズの着用を試みました。結果としてミューラーの視力は0.5まで矯正されましたが、痛みのため30分しか装着できなかったようです。

日本におけるコンタクトレンズ発明の歴史(メニコン名誉会長の逸話)

日本におけるコンタクトレンズ発明の歴史(メニコン会長の逸話)

日本でコンタクトレンズを開発したのは、メニコンの創業者名誉会長である田中恭一です。創業者名誉会長の田中恭一が初めてコンタクトレンズと出会ったのは、第二次世界大戦後の復興期真っ只中でした。メニコンの代表執行役会長 田中英成とフリーアナウンサーの川本えこさんによるMenicon Radioで『~創立70周年 メニコンの歴史~』(2021年2月3日放送)と題して語られた、日本におけるコンタクトレンズの歴史やメニコンの創業話を改めて紹介します。

アメリカ人の夫人との出会い

ーー2月8日はメニコンの創業記念日で、しかも2021年は70周年ですね。おめでとうございます。

田中会長(以下、田中) 「ありがとうございます。」

ーー2月8日は田中会長のお父さまで、メニコン創業者の『田中恭一名誉会長』が日本で初めて角膜コンタクトレンズの開発に成功した日ですよね。

田中 「そうですね。約70年前に父がコンタクトレンズ開発を始めたとき、日本はまだ戦後の復興期です。当時はたくさんのアメリカ軍が日本に駐留していました。父は仕事のない時期が続いたのですが、縁があって名古屋にある老舗のメガネ店に就職したんです。そして20歳のときにアメリカ軍将校のご夫人が来店されて『アメリカにはコンタクトレンズというものがある』と一言漏らしたそうです。」

田中 「コンタクトレンズというものが世界で研究され始めていると父は知っていました。ただし現物を見たこともなければ、触ったこともありません。父は研究者などではないので、学会で発表されている最先端の論文なども当然見られませんでした。」

田中 「父は、『今持っているならコンタクトレンズを見せてほしい』とご夫人に頼みました。しかしアメリカでも研究途中のコンタクトレンズを敗戦国の若者に見せるわけもなく、“コンタクトレンズを持っている”とだけ告げてご夫人は去っていったそうです。」

プロトタイプの制作と自身での装用

田中 「せっかくコンタクトレンズを生で見られるチャンスが来たのに、あっけなくご夫人に断られてしまいました。その日以来、父の頭の中はコンタクトレンズでいっぱいになり、『アメリカ人が作れたなら、きっと自分にも作れるに違いない』と必死にアイデアを考えたようです。」

田中 「文献を読んでいるわけではないので、自分で鏡を見たり親兄弟の目をのぞき込んだりして父は目のスケッチを繰り返しました。人間の目は丸いので、その上にのせるのであればコンタクトレンズはきっとお椀状の形に違いないと父は想像したのです。」

田中 「プラスチックなどの材料を闇市で探し当て、ヤスリで削って、想像したとおりの透明なお椀状のものを作りました。測定する装置はなかったのですが、不思議にも直感と経験から屈折率や焦点の合わせ方など、工学的な計算はされていたんです。そしてご夫人と会った日からわずか3か月で、コンタクトレンズのプロトタイプを作り上げました。」

田中 「父は自分で作ったコンタクトレンズが実際に見えるのかどうか人体実験をしたくなるわけですよ。」

田中 「兄弟に頼んでも、みんな目にものを入れた経験など無いので、怖がって誰も協力してくれませんでした。そこで自分の目で確かめるしかないと決心したそうです。兄弟や親戚は大反対しましたが、父はポジティブだったので『目は2つあるから仮に1つ潰れてもいいんだ』といって自分の目に入れました。すると本人いわく『痛みもなく、よく見えた』そうです。」

黒目だけにのせるタイプのコンタクトレンズ

田中 「プロトタイプが完成して自信を得た父は、さらに改良を重ねて研究機関にコンタクトレンズの持ち込みを行いました。しかし父は、大学にも行っていませんし、専門の勉強をしたわけでもないんです。メガネの修行はしていますが、医学的な知識があるわけでもなく科学者でもありません。そのような人間が大学の先生へ自作したコンタクトレンズを持ち込んだところで、誰も信用しないのが普通です。ところがある先生が少し興味を持ってくださり、『実験で使うから置いておけ』といわれました。」

田中 「当時の研究機関では、『強角膜レンズ』といって直径が20ミリぐらいある大きいサイズで白目部分まで覆い、まぶたでコンタクトレンズを挟み込んで保持する方法が研究されていたのです。父が持っていたのは直径が10ミリで、黒目の上だけをカバーしていました。」

ーー今のコンタクトレンズとほぼ同じですね。

田中 「そうなんです。当時は直径20ミリのコンタクトレンズが世界で研究されており、それが研究者の常識だったんです。そのため、持ち込んだ10ミリのコンタクトレンズは目にのせてもきっと落ちるだろうと考えられていました。直径20ミリのコンタクトレンズはほとんど酸素も通さず厚いので、目に入れると痛くて装用できなかったのです。一方で父が持っていったものを同じように実験したところ、患者さんは痛いといわずに『よく見える』とおっしゃいました。これがメニコンの始まりの出来事です。」

ーーそうやって日本で初めてコンタクトレンズが誕生していたわけですね。

田中 「あとで父に聞きますと、『ご夫人が持っていたコンタクトレンズを見ていたら、自分は作れなかっただろう』といっていました。なぜなら初めて見たコンタクトレンズが強角膜レンズだったら、それがインプットされてしまうので10ミリの発想はできなかっただろうと。父は親兄弟の目を見て、視力を出すのが黒目だったので、黒目の大きさのコンタクトレンズを作ればいいだろうと発想しました。」

ーー逆に見ていなかったからよかったんですね。

田中 「そして下手な知識がなかったことが、イノベーションにつながったのだと思うんです。」

まとめ

科学や技術の発展によってコンタクトレンズが進化してきたことがおわかりいただけたでしょうか。メニコン創業者名誉会長の田中恭一にまつわる逸話を紹介しましたが、現在も最先端の技術を使って、メニコンは新たなコンタクトレンズの開発を日々進めています。本記事を読んで少しでもコンタクトレンズについて興味関心を持っていただけたらうれしいです。


今回紹介したMenicon Radioはこちらからご視聴いただけます。



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