コンタクトレンズ総合メーカー メニコン

ニュース

2019年2月

医療特区制度を活用した中国国内初の強膜レンズ 正式販売のご案内


Boao Super Hospital(博鰲楽城国際医療観光先行区)



オランダ現地法人NKL社製強膜レンズ「time XL」

株式会社メニコンは、中華人民共和国 博鰲楽城国際医療観光先行区にございますBoao Super Hospitalにおいて、当社オランダ現地法人NKL社製強膜レンズ「time XL」を、中国初の強膜レンズとして導入致しましたことをご報告させて頂きます。

強膜レンズは、ハードレンズ素材で作られておりますが、角膜(黒目)よりも小さい一般のハードレンズに対し、強膜(白目)の部分まで覆うサイズの大きなレンズです。強膜でレンズを支えることを特徴とし、レンズが角膜に触れず、角膜とレンズの間に涙液を保持することから、角膜形状が特殊な不正角膜症例に対しては安定した視力補正が、ドライアイ疾患に対しては角膜の保護と涙液の保持が期待できます。

中国における医療機器の承認取得は、既に外国で認可を得ている製品であっても、最短でも2年、平均的には3~4年を必要と致します。そのため2018年にデバイスラグ対策と致しまして、海外主要国(米欧日等)で既に承認された医療機器を輸入する際に、National Medical Products Administration(NMPA)の承認に替わり、博鰲楽城国際医療観光先行区に設立したBoao Super Hospital(BSH)を通じ、海南省Medical Products Administration地方支局に申請をすることで、約7 営業日以内という迅速な審査をもって、海南省内で輸入・販売が許可される制度が導入されました。

当社は、10年以上に渡り、中国温州医科大学と連携し、中国国内に対する酸素透過性レンズの普及に努めてまいりました。そのため、温州医科大学の系列病院であるBSH 眼科病院院長と協議し「増加の一途をたどるドライアイ疾患等に有効な強膜レンズが、中国NMPAに承認された製品がない」ことから、今回の制度施行と同時に、本制度を活用し、NKL社製強膜レンズ「time XL」の導入を試みることと致しました。2018年春に着手し、この度、一年に満たない迅速な期間で海南省への導入が叶いました。
また、これまで前例のない医療機器の申請を行う場合、治験を経た上で申請を行い、承認取得の後、商品の啓発教育が必要でしたが、本制度の活用により、テスト販売・啓発教育と治験の同時並行が可能になりました。すなわち、BSHにおける販売実績は、臨床結果として、NMPAへの製品登録申請に活用できるばかりでなく、その治療結果が中国国内の啓発教育へ即時転用でき、その結果、新製品立上期間の大幅な短縮が可能となります。
このアドバンテージを活かし、現在、2021年に中国全土の承認取得を目標にしております。

メニコンは、高い酸素透過性を有するハードレンズ素材のラインナップを豊富に持ち、また精度の高い切削加工技術を蓄積して参りました。一般的な近視・遠視、乱視補正用レンズだけではなく、オルソケラトロジーレンズを初め、円錐角膜用レンズ『ローズK』、そして今回の強膜レンズ『time XL』など、国内外に複数種の特殊レンズを展開しております。
一般的なレンズよりも、レンズの被覆面積が多い強膜レンズであるからこそ、素材には、より高い酸素透過性が求められます。すでに近視・遠視、乱視等補正用レンズとして世界中広くご愛用頂いておりますメニコンZ素材は、高い酸素透過係数*と薄いデザインの適用が可能な高強度を併せもつ素材であるため、強膜レンズへの適用に、優れた親和性を持ちます。
*;メニコンZ酸素透過係数(Dk)  163×10-11(cm2/sec)・(mLO2 /(mL×mmHg))
また、当社グループのオランダ現地法人(NKL社)は、グループ内でもレンズ加工技術のレベルが高く、既にメニコンZ素材を適用した強膜レンズ『time XL』を、米国・フランス・オランダで販売しております。

近年、中国においては、近視・遠視、乱視等の一般的な屈折補正を目的とするレンズのみならず、近視進行抑制を目的とするオルソケラトロジーレンズの人気も高く、特殊レンズに対する理解が進んでおります。
メニコンは、中国国内において保有する眼科チャネル網を活用し、まずは2022年度に、約1億円の強膜レンズの売上げを目指しております。このように、技術力に裏打ちされた製品をもって、同時に斬新なプログラムを積極的に活用し、伸長する中国市場を更に拡大してゆきます。