水リスクの評価
水(淡水)はコンタクトレンズやケア用品の製造に必要不可欠な原料である一方、地球上で利用可能な淡水量は極めて希少(地球上に存在する水の僅か約0.8%ともいわれています)かつ偏在性があり、各地の水を取り巻く状況は大きく変化しています。このような状況下で持続的に利用しながら事業活動を行うには、工場等の拠点毎にどのような水に係わる事象が起こり得るかを把握し、対策を講じておくことが必要です。
このような考えに基づきメニコングループでは、メニコングループの工場等の拠点を対象にサステナビリティに関する水リスクの評価を行います。
1. 水の使用状況
まず、メニコングループにおける水の年間使用状況を確認しました。
年間使用量(単位:千㎥) | |
---|---|
取水量 | 306.5 |
排水量 | 235.6 |
2. 拠点がある地域の水リスクの状況
代表的な水リスク評価ツールの一つである世界資源研究所(WRI)の「Aqueduct」を用い、OVERALL WATER RISK(総合的水リスク)の結果から、工場等の拠点がある地域の水リスクの状況を確認しました。
OVERALL WATER RISK(総合的水リスク) | 地域 |
---|---|
高(High) | イタリア |
中~高(Medium-High) | 中国 |
低~中(Low-Medium) | 日本、フランス、イギリス |
低(Low) | オランダ、シンガポール、マレーシア |
3. 水リスクの選定
「2. 拠点がある地域の水リスクの状況」と同様「Aqueduct」を用い、物理的リスク、規制リスク、風評リスクの観点から、工場等の拠点がある地域における各種リスクの分布や危険性を割り出した結果、特に注力して対処すべき以下の4項目を「水リスク」として選定しました。
「水ストレス」「洪水」「干ばつ」「品質」
4. 事象と対策(予測)
「3. 水リスクの選定」で選定した水リスクの各項目において、将来起こり得る事象を予測しました。
リスク項目 | 起こり得る事象 |
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水ストレス |
・飲料水不足による、周辺地域の住環境への悪影響 ・工業用水不足による、工場操業への悪影響 |
洪水 |
・工場の被災による製品の流通の停止 ・工場の全壊による操業不能 |
干ばつ |
・取水不可能による製品の生産の減少、延いては工場の操業停止 |
品質 |
・汚染された水を従業員が摂取することによる健康被害 ・工場からの汚染された水の排出による周辺の環境への悪影響 |
5. 今後の方針
国内外の工場等の拠点から、当グループで設定したリスクが起きる危険性の高さ、並びに実際に起きた場合の影響力の強さ等を考慮して、方針を設定していく予定です。また、優先的に対策を講じていく必要性がある拠点を「重点工場」として設定し、水リスク発生の低減に向けての取り組みを促進してまいります。