コンタクトレンズ総合メーカー メニコン

気候変動に関する取り組み

TCFD提言に基づく情報開示

メニコングループは、気候変動を重要な課題と捉え、2021年から中長期的に気候変動に対するレジリエンスを高めるため、シナリオ分析を開始しました。また、2022年4月には、気候変動を含むサステナビリティ課題について議論・検討を深める体制を整え、7月にTCFD提言への賛同を表明しました。今後は、TCFDの枠組みを活用して取り組みを発展させ、継続してレジリエンスを高めていくとともに、気候変動関連財務情報の開示充実に努めます。

ガバナンス

メニコングループは、気候変動に関する課題について、サステナビリティ委員会で審議し、基本的な活動方針を決定します。サステナビリティ委員会は、代表執行役会長を委員長とし、全執行役と社内取締役、関連部門長などで構成され、年4回以上の開催を予定しています。また、より重点的に協議を行うため、気候変動課題に関する分科会を設置しました。分科会は、各部門から情報収集を行い、気候変動に関するリスクや機会の評価、課題に対する取り組みなど、サステナビリティ委員会で審議する内容について必要に応じて検討・協議を行います。サステナビリティ委員会で審議した内容のうち、経営に与える影響の大きい対策や方針などは執行役会や取締役会にて承認を得ます。その他の審議内容も定期的に取締役会へ報告し、取締役会の監督のもと、サステナビリティ経営を推進します。

組織体制図

組織体制図

戦略

1.リスク及び機会の評価

メニコングループは、気候変動がビジネスや戦略に及ぼす影響について、IPCCのシナリオRCP2.6(2℃シナリオ)、RCP8.5(4℃シナリオ)、IEAの持続可能な開発シナリオ(2℃未満シナリオ)などを参照して重要リスクと機会の特定を行いました。時間軸は、短期(現在~2025年)、中期(2026~2030年)、長期(2031年以降)で分類しました。

リスク

財務や経営戦略への影響が大きいと考えられるリスクは以下の通りです。

リスク種類 リスク要因項目 指標 時間軸 想定される対策
移行 政策・
法規制
炭素税の上昇

・原材料の値上げや、製造・販売に係る
電力料金の上昇によりコストが増加

支出

・太陽光パネルの設置による
再生可能エネルギーの導入

・工場や事務所のエネルギー効率化

・資源使用量の削減を可能とする
製品仕様・製造工程の開発推進

CO2排出
削減規制強化

・再エネ電力購入によりコストが増加

・再エネ発電設備、高効率な生産設備の導入のための投資

支出
再生プラスチック
規制の強化

・包装材の再プラ比率が定められ、
適合していない製品は販売が制限される

収益

・再プラ使用促進に向けた
製品仕様・製造工程の開発推進

市場 消費者の行動の変化

・消費者が環境配慮型の消費行動をとる

収益

・環境負荷を考慮した事業活動
(原材料調達から消費・廃棄まで)の実施

物理的 急性 甚大な自然災害の
発生

・工場の被災による操業停止、物流網の遮断により
製品・サービスの提供が困難となり、売上高が減少

収益

・事業継続計画BCPを定期的に見直し適切に運用

・原料調達先の多様化、製造工場の分散

慢性 干ばつに伴う水不足

・生産拠点のある地域において水不足により、
計画に沿った生産活動ができずに売上高が減少

収益

・節水可能な設備の導入

・水資源の使用削減につながる
製品仕様・製造工程の開発推進

降雨量増加による
水質悪化

・水の使用コストが上昇

支出
平均気温の上昇

・製造、保管、輸送における
温度管理に必要なコストが増加

支出

・建物の熱効率を向上させる工夫

・気温上昇下でも業務が継続できる
オペレーション体制の構築

機会

財務や経営戦略への影響が大きいと考えられる機会は以下の通りです。

機会種類 機会要因項目 指標 時間軸 想定される対策
リソースの効率化 資源の効率的な使用

・資源使用量の削減を可能とする
製品仕様・製造工程の実現により、原価を低減

支出

・環境に配慮した製品仕様・製造工程の
開発推進

エネルギー源 再エネ発電設備の設置

・電力料金の値上がりや電力不足の
影響を受けにくくなる

支出

・再エネ発電設備導入の検討推進

製品及び
サービス
屋内活動の増加による近視
人口増加(4℃シナリオ)

・コンタクトレンズの需要増加

収益

・販売促進活動を実施

・適切に需要を予測し、
それに応じた製造体制を構築

環境を考慮した
製品へのスイッチング

・環境配慮型の製品やサービスの提供により、
環境意識の高い顧客への販売量が拡大、
新規顧客を開拓

収益

・環境に配慮した製品仕様・製造工程の
開発推進と顧客への案内

環境負荷を低減する
製品・ビジネスの普及

・環境負荷を低減するような製品、
ビジネスの普及・拡大により売上高が増加

収益

・環境負荷を低減するような
製品・サービスの普及活動促進

平均気温上昇による
農作物生産効率の低下
(4℃シナリオ)

・農作物の生産性を向上させるような
製品・サービスへの需要が高まる

収益

・生産性向上に寄与するような
製品・サービスの開発推進

レジリエンス 気候変動リスク評価、
対策

・リスクを事前に回避し、
安定的な事業継続が可能となる

収益/
支出

・リスク評価精度の向上

リスク管理

メニコングループは、リスク管理に関して、損失などを回避または低減して会社資産を保全するとともに、ステークホルダーの安全を確保し、事業の継続を図ることを目的に、リスク管理体制と手順を定めています。気候関連リスクに関しても全体のリスク管理プロセスの中で管理・モニタリングを行っていきます。

(1)リスクの特定

サステナビリティ部門は、会社の内部環境及び外部環境変化への対応状況を年1回以上各部門から情報収集を行い、特定されたリスクを整理し、サステナビリティ委員会の審議を経て委員長が重要リスクを決定する。

(2)リスク対応計画

リスク対応部門は、対応計画を立案する。

(3)進捗報告

リスク対応部門は、サステナビリティ委員会などで定期的に計画の進捗を報告する。

(4)見直し

サステナビリティ委員会は、対応計画の進捗度により必要に応じ計画見直しを指示する。

(5)リスクのモニタリング

各部門は、特定されたリスクについて監視し、変化が生じた場合にはサステナビリティ部門に報告する。

リスク管理手順

リスク管理手順

指標と目標

メニコングループは、指標として、2020年度からメニコングループの温室効果ガス(GHG)排出量(Scope1+2)の算出を実施し、サプライチェーンの上流・下流における排出量(Scope3)の算出も現在進めています。GHG排出量削減目標については、Scope3の算出結果を踏まえて検討していく予定です。

GHG排出量

  2020年度実績 2021年度実績 2022年度実績
Scope1+2 20.75千t-CO2 20.99千t-CO2 22.27千t-CO2
Scope1 2.94千t-CO2 3.34千t-CO2 3.92千t-CO2
Scope2 17.80千t-CO2 17.65千t-CO2 18.35千t-CO2

※バウンダリーは、メニコンおよびグループ会社

  2020年度実績 2021年度実績 2022年度実績
Scope3(Scope1、2以外の間接排出) - 110.30千t-CO2 103.75千t-CO2
  カテゴリ1 購入した製品・サービス - 80.69千t-CO2 74.00千t-CO2
  カテゴリ2 資本財 - 17.65千t-CO2 14.66千t-CO2
  カテゴリ3 Scope 1、2に含まれない
燃料及びエネルギー活動
- 1.89千t-CO2 1.99千t-CO2
  カテゴリ4 輸送、配送(上流) - 5.04千t-CO2 6.30千t-CO2
  カテゴリ5 事業から出る廃棄物 - 0.26千t-CO2 0.22千t-CO2
  カテゴリ6 出張 - 0.49千t-CO2 1.61千t-CO2
  カテゴリ7 通勤 - 0.52千t-CO2 0.54千t-CO2
  カテゴリ11 販売した製品の使用 - 0.92千t-CO2 1.45千t-CO2
  カテゴリ12 販売した製品の廃棄 - 2.80千t-CO2 2.94千t-CO2

※メニコンのみ

その他の指標・目標

メニコンでは、5年度間平均エネルギー消費原単位を年1%以上削減することを目標にしています。(原単位:生産数量または延床面積)