キャバナ博士からの警告|コンタクトレンズのメニコン
コンタクトレンズを24時間装用した家兎の角膜に、一定量の微生物(ここでは緑膿菌)を付着させ、付着量を比較したグラフです。通常、角膜には微生物が侵入しないように、バリヤー機能が働いていますが、この試験では、酸素透過性の低いコンタクトレンズほど角膜上皮細胞の剥離がおきやすく、剥離した部分に微生物が付着しやすいという結果が出ています。
アメリカでは、1980年代後半コンタクトレンズを使う人に、大変な痛みを伴う角膜潰瘍が多く発症していました。そこで、「いつも清潔なコンタクトレンズを使えば、潰瘍の原因となる菌は付着(感染)しないだろう」という仮定がたてられ、使い捨てのソフトコンタクトレンズが開発されたのです。しかし、残念なことに、使い捨てのコンタクトレンズが普及しても、患者の数は減少せず、むしろ増加傾向になりました。 「これは、別の原因があるに違いない」。そう考えたキャバナ博士は、当時、酸素透過性の高いハードレンズ使用者の多かった日本では、角膜潰瘍にかかる人の割合が低いことを知り、「レンズの酸素透過性」に着目して実験をはじめました。すると、酸素をあまり通さないレンズを使用すると、角膜潰瘍の原因になる緑膿菌の角膜への付着数が著しく増加することがわかったのです。 以上の実験結果から、コンタクトレンズに起因する角膜潰瘍の発生を抑え、眼の安全を守るためには、酸素透過性の高いコンタクトレンズを装用することが大切だと考えられています。
H.Dwight.Cavanagh