コンタクトレンズ2022年11月28日

正しく、安全 - 目の健康を守るカラコン処方のポイント

幅広い世代において、瞳の印象を変化させる目的で使用されているカラーコンタクトレンズ。

コロナ禍でマスク着用が当たり前となった昨今、目元が与える印象を高めるためカラーコンタクトレンズのニーズが高まっています。

ファッション感覚で使用されることが多いカラーコンタクトレンズですが、不適切な使い方により重篤な眼障害を引き起こす場合があります。

そうしたリスクを抑えるためには、処方に携わる医療従事者が、患者様に対して適切な指導や説明を行うことが必要です。

本コラムでは、カラーコンタクトレンズを処方する際のポイントについてご説明いたします。

カラーコンタクトレンズの現状

かつて「視力補正を目的としないカラーコンタクトレンズ」は雑品扱いとされていました。

しかし、安全性が問題視され、2009年からは視力補正用コンタクトレンズと同じように高度管理医療機器として医薬品医療機器法の規制対象となりました。

それに伴って、現在は「視力補正を目的としないカラーコンタクトレンズ」の製造・輸入には厚生労働大臣の承認が、販売においては都道府県知事の販売業の許可、営業所管理者の設置が義務づけられています。

しかしながら、カラーコンタクトレンズの不適切使用による眼障害が後を絶たない現状があり、今後も適切な処方や指導を続ける必要があります。

カラーコンタクトレンズに起因する主な眼障害

1. 角膜上皮障害

カラーコンタクトレンズは顔料による着色部分が含まれるため、顔料による機械的な刺激により、角膜上皮障害を認める場合があります。

また、ズレによる見た目への影響を考慮するカラーコンタクトレンズは、フィッティングがタイト傾向にあります。

そのため、張り付きが生じやすく、それが原因となって上皮障害が発生することもあります。

2. 長時間装用による障害

カラーコンタクトレンズに限りませんが、コンタクトレンズを長時間装用したことにより、角膜びらん等の眼障害が発生することがあります。

装用時間を守ることや、より酸素透過性の高いコンタクトレンズを選ぶことが重要です。

適切なカラーコンタクトレンズの選び方

患者様の視点では色味やデザインで選ばれがちなカラーコンタクトレンズですが、処方する際には安全性を考慮する必要があります。

通常のコンタクトレンズ同様、一人ひとりに合ったレンズ素材やBC、DIAなどを選択することはもちろんですが、カラーコンタクトレンズにおいては着色部分の構造にも注目する必要があります。

カラーコンタクトレンズは、着色部に使用される顔料がレンズ表面に露出することで眼障害を引き起こす可能性があります。

製造工程や印刷技術によってコンタクトレンズ中の顔料の存在状態は異なり、それらの技術は日々進歩しています。

より安心してお使いいただくために、製造企業が発信する技術情報などにも着目いただき、より安全性の高いカラーコンタクトレンズを選んで処方いただくことが重要です。

患者様への伝え方

目の健康を守るには、患者様自身がカラーコンタクトレンズを正しく理解し、安全にお使いいただく必要があります。

そのためには、医療従事者から患者様への情報の伝え方も重要になってきます。

カラーコンタクトレンズを装用したい気持ちを否定するのではなく、まずは患者様の意思に寄り添い、共感した上で、安全性の高いレンズ選びや使い方について指導いただくことが大切です。

より安全に、快適におしゃれを楽しむお手伝いができるといいですね。

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