施設におけるコンタクトレンズ処方の中心であるソフトコンタクトレンズ(以下SCL)。
現在は様々なタイプのSCLが販売されており、各製品に応じた処方手順に戸惑われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回のコラムでは、SCL処方の基本となるフィッティング判断についてご説明します。
トライアルレンズを装用したら、まずはレンズの動きと安定位置をチェックしましょう。
同時にレンズ周辺部も観察し、球結膜への圧迫や吸着、たわみや浮き上がりがないかを確認しましょう。
① レンズの動き
瞬目時に、レンズが0.3〜0.5mm程度動くかを確認します。
判断基準はベースカーブや直径以外に、レンズの種類・厚みによって異なります。
② レンズの安定位置
コンタクトレンズが角膜全体を覆っていることが原則です。
レンズの安定位置が中央安定であればベストですが、やや耳下側に位置することもあります。
また、レンズの周辺部分にたわみや浮き上がりがないかを確認しましょう。
③ CL周辺部の球結膜への圧迫
レンズのエッジによる球結膜への圧迫や吸着がないか確認します。
エッジが結膜にくい込んでいないか、結膜の血管の血流が遮断されていないか観察しましょう。
SCLのフィッティング状態は以下の3つにわけられます。
基本はノーマルを目指します。
ノーマル
レンズの安定位置・動きが良い状態
タイト
レンズの動きが少なく、角膜に吸着している状態
ルーズ
レンズの動きが大きく安定が悪い状態
現在販売されているSCLには様々な種類があります。
基本のフィッティング判断に加え、種類別に押さえておきたいポイントをまとめました。
① シリコーンハイドロゲル
・素材の酸素透過性が高いため、レンズの動きは少なくても処方は可能
・レンズによってはやや大きく動くものもある
② サークルレンズ・カラーコンタクトレンズ
・着色部の内側から強膜が見えないようタイトフィッティング気味に処方されることが多い
・従来型のハイドロゲル素材の製品が多く、タイトフィッティングによる酸素不足が懸念される
③ トーリックタイプ(乱視用)
・フィッティングと同時に、レンズの傾きもチェックする
④ 遠近両用タイプ
・動きが大きすぎると見え方が安定しづらい
SCLは種類が多いため、商品名を覚えるだけで精一杯…という方もいらっしゃるかもしれません。
しかし各レンズにはそれぞれ特徴があり、それらをふまえたフィッティング判断や処方を行う必要があります。
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