作品紹介

歌劇「あしたの瞳」は、現・株式会社メニコン会長、創業者である田中恭一の半生をモチーフに、宮川彬良・初の書き下ろしオペラとして、過去と未来、古いものと新しいものを繋ぎ融和して生み出す新機軸の挑戦に満ちた未来(あした・みらい)系オペラです。田中恭一の「ものづくり」の精神を受け継いだ宮川の音楽が、ときに抒情豊かに、ときに高らかな躍動とともに、あしたを創る「心のものづくり」を奏でます。

田中恭一は、戦後の動乱のなか勤め先の名古屋市の眼鏡店で、目の上に直接のせて物を見ることができる「コンタクトレンズ」を持っているというアメリカの将校婦人と出会います。実物を見たくてたまらない彼でしたが、見ることは叶わず「それならば自分でつくってやろう!」と決意。運命に導かれるように、以来、取りつかれたかのごとくコンタクトレンズづくりに熱中します。それはまさに、何かが、誰かが、恭一をして、新しい扉(視界)を開く「未来(あした)の瞳」=コンタクトレンズを創らせているかのようでした。

戦争を見た目で、戦争に使われた道具で生み出された未来(あした)の瞳「コンタクトレンズ」と、それを生み出した男の宿世を紐解きながら、新たなものを生み出す瞬間の神憑り的な力を表現し、同時に、「みることとはなにか?」という問いかけを通して、人間の心の根源へ迫り、人生を豊かに生きることへのエッセンスをお届けします。

宮川彬良

©M.Ishiguro

[作曲・指揮] 宮川彬良
みやがわ・あきら 作曲家・舞台音楽家。
東京芸術大学在学中より劇団四季、東京ディズニーランドなどのショー音楽を担当。その後、数多くのミュージカルなどを手掛け、舞台音楽家としての地位を確立。代表作に『ONE MAN'S DREAM』、『マツケンサンバII』、『身毒丸』、『ザ・ヒットパレード』など。日本全国で演奏活動も行っており、テレビ出演も多い。2012年公開の「宇宙戦艦ヤマト2199」では、父・宮川泰氏の後を受け継ぎ、劇中音楽を担当。
公式ウェブサイト http://akira-miyagawa.com/
[脚本] 響敏也
ひびき・としや 作家・音楽評論家。
スタジオ・オーケストラのトランペット奏者として演奏活動後、放送作家の執筆活動。その後「作家・音楽評論家」。評論や随筆を新聞・雑誌に執筆。オペラと落語を合体させた『オペらくご』の創案と脚本、音楽舞台の脚本(大阪フィル・ポップス、アンサンブル・ベガ等)や、放送音楽番組台本を担当。近年は詩作や作詞に力を注ぎ、作曲家・宮川彬良と新しい「うた」を連作中(ヒビキ・トシヤ名儀)。著書=『親父の背中にアンコールを〜朝比奈隆の素顔の風景』等。脚本=オペらくごVol.3和菓子屋騒動記『こしあん取って!』 (コシ・ファン・トゥッテ)/音楽劇『私がベートーヴェンです!』/ぺらぺらオペラ笑劇場/谷啓オペラ『ピエロに何が起こったか』等。作詞=合唱組曲『少年の時計』(『音のつばさ』『サヨナラの星』等)/『空のわすれもの』/『幸せのリズム』/『栄光の道』(松井秀喜選手公式応援歌)等。
[演出] 佐久間広一郎
さくま・こういちろう 構成・演出家。
(株)OFFICE516代表取締役、(株)ブリッジプロモーション取締役。
1962年、名古屋市生まれ。関西大学社会学部卒。
在学中から学内演劇サークルにて活動。卒業後は『劇団POTATO倶楽部』を主宰。1993年、個人事務所OFFICE516を設立。1998年、(財)名古屋市文化振興事業団より海外研修助成を受け、英国(ロンドン及びリーズ)にてエデュケーションプログラムの調査研究を行う。2005年、『2005国際芸術フェスティバル』総合ディレクターとして愛知県下全域にて60事業を展開。65,000人を動員する。
現在はストレートプレイ・ミュージカル・オペラ等数々の舞台作品の演出を手掛ける一方で、ラジオ番組の構成や短編映画シナリオの執筆など、マルチに活躍中。
名古屋芸術大学音楽研究科(大学院)、音楽文化創造学科講師。専門学校名古屋ビジュアルアーツ講師。
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田宮常一はふと、誰かに呼ばれたような錯覚を覚える。
「待てよ・・・なあ、常一よ。」
目には見えないが確かに自分を呼ぶ声がする。
半信半疑の常一に向かって、声の主は言う。
「おれはお前の目玉の記憶。お前は、お前の見てきたものから真実を学んだのか・・・」

常一は、戦争を見た「目」で戦争に使われた道具を未来(あした)の「瞳」に変えた男。
未来(あした)の「瞳」を生み出した常一だからこそ見なければいけないものがあると、その声は言う。

「みる」とはなにか?「みえる」とはなにか?
田宮常一の、未来へつながる過去への旅が、いま始まる―

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